こんにちは!

カズ社会保険労務士事務所 代表の佐久間和象です。

コロナ禍と企業経営・労働条件への影響

新型コロナウイルス感染症の社会・経済への影響がまだまだ続いていますね。

今後も含めて、まだまだいろいろな意味で厳しい状況が続くことになるのではないかと思います。

このような状況が約1年ほど続いており、企業経営という面から見ても、相当に深刻なダメージを受けている会社様も少なくありません。

コロナ禍の今に限りませんが、厳しい経営状況の中では、現実の話として、雇用する労働者の労働条件を切り下げる、つまり労働条件の不利益変更をせざるを得ないという経営判断も状況によっては考えられます。

今回は、その労働条件の不利益変更について、社員との「合意」という要素と絡めてご紹介したいと思います。

一方的な労働条件の不利益変更はNG??

冒頭の通り、企業経営の道のりの中では、時として、やむを得ず雇用する労働者の労働条件を不利益に変更せざるを得ない状況が生じることもあります。

一方で労働条件の不利益変更は、経営サイドがそれを必要と考えるからということのみで行えるものではありません

まず、ここはとても重要な点です。

いくら必要性があると経営サイドが考えていたとしても、労働者との手続きを経ずに一方的に労働条件の不利益変更を行うことはできません。

では仮に、やむを得ず労働条件の不利益変更を行わざるを得ないとして、どのような手続きを踏むことが必要になるのでしょうか?

原則:労働者との合意

結論から先にお伝えるすると、労働条件の不利益変更には労働者との合意が原則として必要になります。

これは過去の最高裁の判例を踏まえ法律(労働契約法8条)に定められているものです。

会社様によっては、この「合意」について、「ハードルが高い」と感じられる場合もあるのではないでしょうか。

確かに不利益変更の対象となる労働者数が多い場合や労働者との信頼関係が既に崩れてしまっているような場合など、合意を取り付けることの難易度が通常より高い場合も現実にはあります。

労働条件の不利益変更には、例外的に一定の要件を満たしたうえでの就業規則による変更や、労働組合がある場合には労働協約による変更も選択肢としては考えられます。

(労働者個々との合意によらない労働条件の不利益変更についてはまた改めてご紹介いたいと思います。)

厳しい状況であるからこそ、先を見据えた対応を

一方で、何よりもまずは、合意による労働条件の不利益変更の道を探ることが重要ではないかと考えます。

会社が厳しい状況であるからこそ、労働者に対して、可能な限り会社の状況や今後の見通しを明らかにしたうえで、労働条件の不利益変更について、真摯にその必要性や具体的な変更の内容を伝える。

そのうえで、この先も引き続き会社に貢献してもらいたいこと、改めて労働条件の引き上げを行えるようお互いに進んでいきたい旨などを伝え、合意を取り付けられるよう最善を尽くす。

こうした姿勢は法律やリスクの観点のみならず、先を見据えた労働者との信頼関係の維持や中長期的な組織運営の観点からも不可欠ではないでしょうか?

合意までには、早い段階から経営サイドで検討を重ねることや計画を具体化すること、またあらかじめ労働者に対して丁寧かつ具体的に説明を尽くすことなど、様々な過程を経ることになります。

これは心身ともに大きな疲弊を伴う作業となりますが、この過程において会社としてどこまで真摯に向き合い、少しでも時間的な余裕を持ちつつ、合理的かつ具体的に準備を進められるかが合意の結果に影響してくることになります。

コロナ禍の今だからこそ、まさに現実の話として労働条件の不利益変更の問題に直面している、または検討を始めている会社様も少なくないのではないでしょうか?

労働条件の不利益変更にあたって、会社様によっては法律的に複数の選択肢が考えられる場合もありますが、こんな今だからこそ、中長期的な視点も踏まえ、原則を改めて確認して頂けるとよいのではないかと思います。

今回のような労働条件の不利益変更に関する問題は、特に今、そして今後しばらくは会社様の人事労務上の課題として大きな割合を占めてくる可能性もあります。

この点については、今後も随時、様々な視点からご紹介していきたいと思います。