こんにちは!カズ社会保険労務士事務所 代表の佐久間和象です。

先日、厚労省から「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成31年度・令和元年度)」が公表されました。

これは、全国各地にある労働基準監督署(以下、労基署)が行った企業への監督指導の結果、平成31年度・令和元年度に不払だった割増賃金(以下、残業代)が支払われた事案の中で、支払額が1企業で総額100万円以上となった事案を取りまとめたものになっています。

公表された内容によると、残業代の不払に関して労基署の是正が行われた企業は1,611社、そのうち1,000万円以上の残業代支払いを行った企業は161社とされています。

平均として、1企業当たり611万円、労働者1人当たり13万円が支払われる状況となっています。

また、不払となっていた労働者数の合計は7万人超、支払われた残業代の合計は、約98億円にのぼるとのことです。

公表された結果の詳細については次のリンクよりご確認下さい。https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/chingin-c_r01.html

しれっと(?)公表されており、大きく報道されているわけではありませんが、よくよく考えると衝撃的な数字だと思っています。

この結果のもととなった労基署による監督指導は、労基署の定期的な調査や、労働者からの申告に基づく調査によって行われたものであり、日本全国の残業代の不払い件数がもっともっと多いことは想像に難くありません。

国としては引き続きこうした状況を是正していく方向で今後も動いていくでしょう。

一方で、1企業としては、こうした状況をどう受け止め、動いていくかがとても重要と思います。

残業代の不払い自体が法律上問題であることは明白で、「法律だから」ということでやむなく正しい運用とする、もしくは「明らかになってしまった場合の金銭的、または株主対応も含めた社会的リスクが大きいから」という捉えで是正することも必要ですが、そうした視点のみではなく、企業経営・事業運営をしていくうえで、その企業内で残業代の不払いがどのような影響を与えるかをイメージすることも必要かと思います。

具体的には従業員の心理にどう影響するか、またその結果、業務への姿勢やサービスの質、そして人間関係においてどのような影響を与えるか、です。

「本来支払われるべきものが支払われない」

「会社が法律違反をしている」

こうした状況を社員がどう思い、どのように働くようになるか、です。

表立って不満が出てきていなかったとしても、社員はいろいろなことを感じ、考えているでしょう。

法的なリスクや社会的・金銭的なリスクはもちろんですが、事業の維持・向上という観点からも残業代の不払いは避けなけれなりません。

そして、ある意味で当然といえば当然である残業代の支払いを当然に行うことが、良くも悪くも今の時代は特に、社員の職場に対する信頼感・安心感を高めること、また他社との差別化に繋がる可能性も考えられます。

いずれにしても、残業代をはじめ、賃金に関する部分は人事労務の中でも常に運用のチェックが必要になろうかと思います。