先月閉会した国会では、また新たに労務に関連する複数の法改正が行われました。

最近の法改正には、これまでの実務を大きく変えるものも多々あり、その対応に苦慮する企業は少なくありません。

法改正が行われる度に、企業はその対応に迫られることになりますが、事業運営の傍ら適切に法改正対応をしていくことは容易なことではありません。事業運営に追われ、労務対応に追われ、という日々の中、気付けば形だけの法改正対応に終始している、というケースをお見受けすることも中にはあります。

就業規則の改正が行われたのみで実際の運用は伴っていなかったり、社員への周知・理解を十分に深めないまま進めてしまっていたり、法改正対応によってできあがった何らかの制度や取り組みが形骸化してしまうこともあるのではないでしょうか。

ここ数年の法改正を例にとれば、例えば年次有給休暇に関する法改正や、育児介護休業法に関する法改正、パワハラ防止に関する法改正などでしょうか。

厚労省のリーフレットに記載のある規定例を使い就業規則の改正を行えば、外形上は、法改正対応をしたと言える状態になるかもしれません。しかし、それでは法的に問題があるのみならず、組織や人をマネジメントしていくうえでも問題が生じてくるでしょう。

法改正対応には企業の本質が表れる

法改正に対応することの本来の目的は何か?

法的に求められる条文を就業規則に追加することのみではないでしょう。

法律が求める内容に沿って制度を構築し、それを社内の中で実態を伴って運用していくこと。そしてその先に自社の追い求める組織や人のマネジメントの在り方を実現する、職場環境を最適化していくことにあるのではないでしょうか。

自社なりに法改正の裏にある背景を認識したうえで、その対応を実現することでどんな職場環境を実現していくのか。中長期的な絵を描いて、血の通った法改正対応をしていくことが自社の明るい未来に繋がっていきます。

もちろん、様々な法改正がある中で毎度毎度丁寧に対応していくのは簡単なことではありません。ですが、そんな中でもトライ&エラーを繰り返し、自社が描く未来を想像して愚直に進んでいくことに意味があり、その積み重ねの中で安心・安全な職場が次第に作られていくのだと思います。

法的に必要なこと、求められることを実態が伴う形で抜かりなく着実に実践していく。

それが結果的に最もコストが低く、特別なリソースを割くことなくできる、職場環境改善の取り組みなのではないでしょうか。多くの企業と関与させて頂く中で、人が集まる会社・人が定着する会社は、度重なる法改正の中でも優先順位を付けつつ、着実に中身の伴った対応をしている印象です。

当たり前のことを当たり前にできる。これは個々人のみならず、企業にとっても重要です。特別なことや流行りのカッコイイことをしなくても、当たり前に求められることを当たり前にやっておくことが、その企業の価値となり、他社との差別化にもなる。

そんな企業にいい人材は集まり、定着し、いい仕事も集まってくるのでしょう。

これからも労務関連の法改正は様々行われていくでしょう。それに対して、やっつけ仕事で終わらせるのか、丁寧に実態の伴う対応を行っていくのか。

これは、企業の将来を左右する一つの重要な要素と言っても過言ではないでしょう。