こんにちは!

カズ社会保険労務士事務所 代表の佐久間和象です。

今回は、このところあちこちでご相談頂く育児休業中の就労についてご紹介したいと思います。

育児休業とは

本題に入る前に、まずは、育児休業に関する基本的な考え方を整理しましょう。

育児休業は、労働者が申出をすることで、法律で定める(もしくはその範囲内で労働者本人が指定する)期間について労働契約上の働くべき義務(労働義務)が消滅し、会社との雇用関係を継続したまま休業をし、子の養育を行うことができるものです。

(一定の要件はありますが)労働者の申出によってその権利は行使でき、会社側は育児休業取得の申出を拒否することはできません。

そして法制度上、育児休業期間中に働くことは想定されていませ

育児休業中の就労

以上が育児休業の基本的な考え方になります。

繰り返しになりますが、本来、育児休業中に働くことは想定されていません

改めて、この点は本来そういうものであるということをしっかりと押さえる必要があります。

その一方で、ある限られた状況においては育児休業中に就労させることは可能とされています。

どのような場合であれば育児休業中の就労が可能かというと、

労働者本人との合意を前提としたうえで、その就労が一時的・臨時的な場合です。

一時的・臨時的な就労であるか否かについて、明確に線引きをすることは難しいところですが、厚生労働省からは例として以下のような考え方が示されています。

————————————

【一時的・臨時的な就労に該当するもの】

〇労働者Cの育児休業期間中に、トラブルにより会社の基幹システムが停止し、早急に復旧させる必要があるため、経験豊富なシステムエンジニアであるCに対して、修復作業を事業主が依頼し、Cが合意した場合

〇労働者Eは育児休業の開始当初は全日を休業していたが、一定期間の療養が必要な感染症がまん延したことにより生じた従業員の大幅な欠員状態が短期的に発生し、一時的にEが得意とする業務を遂行できる者がいなくなったため、テレワークによる一時的な就労を事業主が依頼し、Eが合意した場合

【一時的・臨時的な就労に該当しないもの】

〇労働者Fが育児休業開始当初より、あらかじめ決められた1日4時間で月20日間勤務する場合や、毎週特定の曜日または時間に勤務する場合

令和2年12月作成厚生労働省リーフレット「事業主・労働者の皆さまへ 育児休業中の就労について」より抜粋)

————————————

これらを踏まえると、育児休業中の就労はごく限られた範囲内で認められるものであることがお分かり頂けるかと思います。

例えば、育児休業をする予定の労働者が部門内でエース級の働きをしており、一定期間完全に抜けてしまっては困るという理由から、あらかじめ育児休業中は週〇日・〇時間働く、などと合意して育児休業中に就労させることは認められません。

厚生労働省のリーフレットに記載のある通り、恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはなりません。

育児休業中に申請手続きをすることで受給できる育児休業給付金について、就労した場合に受給できる要件として、支給対象となる1ヶ月間(支給単位期間)について、就労日数が10日(10日を超える場合には就労時間が80時間)以下であることが必要とされています。

この部分から、就労日数が10日(10日を超える場合には就労時間が80時間)以下であれば、理由を問わず育児休業中に就労することが認められると誤解されているケースもあるように思います。

会社様によっては、悪意なく、むしろ労働者の希望も踏まえて理由を問わず育児休業中の就労を認めてしまっている場合があるかもしれません。

ある会社様では、労働者が「ネットで育児休業中の就労ができるという情報を見つけた。それができるならば定期的に働きながら育児休業を取りたい」と人事担当部門に掛け合い、人事担当部門としても、それで育児休業が取りやすくなるなら、取得率が上がるならば、ということでその方向に動こうとしていたということもありました。

育児と仕事の両立や男性の育児休業取得率の向上などが社会的な関心事となっている中、多くの会社様にとって、とりわけ育児休業の取得促進への対応は労務上の大きな課題となっていることでしょう。

そのような中で、育児休業中の就労に打開策を見出される場合もあるかもしれません。

しかし、上記の通り、育児休業中の就労は一時的・臨時的な就労であることが前提となります。

先日、育児休業等に関連する法律の改正案がまとめられ、今国会での成立が目指されています。

この改正案に限らず、育児休業制度全般について、今後も育児と仕事の両立を促進するために必要な手直しが随時行われていくものと思います。

その中では、育児休業中の就労の在り方についても議論が及ぶ可能性があるかもしれません。様々な議論があるところではありますが、育児休業中の就労に関する現時点での考え方について、今回ご紹介した内容を参考として頂けたらと思います。