先日、改正育児・介護休業法(以下、「改正育介法」)が国会で可決・成立し、正式に改正されました。

今回はこの改正育介法について、どのような内容で、いつからスタートするかをご紹介したいと思います。

改正育介法は、国会での可決・成立前から様々なメディアで報道されてきました。

男性の育児休業の取得促進が改正の目玉として紹介されることが多いですが、その他にも企業にとって重要な内容が複数含まれています。

また、内容によって施行時期が異なることもあり、企業としては優先順位を付けてスムーズに対応を進めて行くことが求められます。

改正育介法の概要

まずは、改正育介法の内容についてです。

改正育介法には次の通り、主に5つの改正点があります。

①育児休業に関する個別周知・休業取得の意向確認、その他育児休業を取得しやすい環境整備の義務化

  • 労働者が企業に対し、自身(または配偶者)が妊娠または出産したことを申し出た場合、企業はその労働者に育児休業に関する制度を周知し、育児休業を取得するかどうかの意向を確認することが義務となります。
  • また、育児休業の申し出が円滑に行われるようにするため、労働者に対する育児休業にかかる研修の実施や相談体制の整備など、国が示す措置のいずれかを講ずることが企業の義務となります。

②有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件緩和

  • これまで有期雇用労働者が育児休業・介護休業を取得するためには、いずれも2つの要件を満たすことが必要とされていました。
  • 改正により、そのうちの一つ、「その企業に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という要件が撤廃されることになります。
  • そのため有期雇用労働者について育児休業を取得するためには、「子が1歳6ヶ月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでない者」という要件を満たせばよいこととなり、介護休業を取得するためには、「介護休業の開始予定日から数えて93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに労働契約が満了することが明らかでない者」という要件を満たせば、原則として育児休業・介護休業を取得することが可能となります。
  • なお、「その企業に引き続き雇用された期間が1年未満である者」を育児休業、介護休業の取得対象から除外する旨を労使協定で締結した場合には、当該者を適用除外とすることは可能とされています。

③出生直後期の柔軟な育児休業(出生時育児休業)の取得が可能に

  • 通常の育児休業(原則子が1歳まで)とは別枠の育児休業として、子の出生後8週間以内に4週間を限度として育児休業(出生時育児休業)を取得することが可能になります。(2回に分割して取得することも可能。)
  • また、労働者の申し出の範囲内で、労働者の同意を前提に出生時育児休業の期間中に就業することも可能となります。

④育児休業の分割取得が可能に

  • これまでは原則として育児休業を分割して取得することはできませんでしたが、改正により2回まで分割して取得することが可能となります。(上記③の出生時育児休業とは別枠で分割が可能です。)
  • また、育児休業を1歳以降に延長する場合の育児休業開始日を柔軟に設定できるようになります。(これまでは、1歳以降に育児休業を延長する場合の育児休業開始日は子の1歳、または1歳半の時点に限定されていました。)

⑤育児休業取得状況の公表義務化

  • 労働者が1,000人超の企業には育児休業等の取得状況を公表することが義務付けられます。

施行スケジュール

施行のスケジュールは次の表の通りです。

内容によって施行時期が異なるため、誤りの無いよう正しく把握したうえで、優先順位を付けて対応を進めていくことが必要です。

改正法施行スケジュール-1

早めの準備を!

今回の改正は、男性の育児休業の取得促進という点にスポットライトが当たることが多いですが、中身を見てみると、男性の育児休業の取得促進のみならず、重要な改正点が目白押しです。

特に上記①の「育児休業に関する個別周知・休業取得の意向確認、その他育児休業を取得しやすい環境整備の義務化」は、実務に大きな影響を与えるものになると思われます。

この措置が適正に運用されることで性別にかかわらず育児休業の取得が強く促進され、また職場の風土を大きく変えることにも繋がるのではないでしょうか。

施行まで時間がある内容もありますが、改正内容は多岐に渡り、また就業規則の改正・整備も含めて実務上の負担も小さくないと考えられますので、今から少しずつ準備を進めていく必要があります。

今回は改正育介法についてご紹介しました。

それぞれの改正内容に関する詳細な事項については、今後、厚生労働省令において定められる予定です。

そのため、実務上の細かな点が現時点で明らかになっていない部分が多々あります。それらについては、厚生労働省令が公表されたところで改めてご紹介したいと思います。